アニメ「薬屋のひとりごと」第3話で、武官へ下賜(かし)された芙蓉(フヨウ)妃。
挿入歌も入り、感動的なお話でしたが、「芙蓉って何?」「武官へ下賜って何?」などわかりにくい部分もありました。
今回は、夢遊病のお姫様・芙蓉妃をめぐるお話や「月下の芙蓉」の意味、「下賜」とは何かについて解説します。
アニメ「薬屋のひとりごと」第3話解説!
壬氏から「夢遊病の姫」の調査を依頼された猫猫。
芙蓉(フヨウ)妃の様子を見て、「仮病」であると気づいた猫猫ですが、同時に芙蓉妃が仮病を使う「理由」についても気づいてしまったため、芙蓉妃が下賜され、後宮を出るその日まで理由は公言せずにいました。
それぞれのエピソードについて、詳しく解説します!
芙蓉妃が夢遊病をよそおって、舞を踊っていた理由
芙蓉(フヨウ)妃は、猫猫たちが住む「リー」という国の小さな属国・阿南の第3皇女。
つまり、小国のお姫様。
かねてより、思いを寄せていた武官がいましたが、後宮妃として後宮に差し出されてしまいます。
リーという国では、一度でも皇帝のお手付きとなれば、一生後宮を出ることができなくなってしまう国です。
芙蓉妃の容姿は、現皇帝が好むナイスバディ。
芙蓉妃の作戦①舞の失敗で「暗いお姫様」に
芙蓉妃は、万が一にも皇帝のお手付きにならないように、初お目見えの際にわざと舞を失敗します。
そこから2年間、暗いお姫様を演じ続けるのすごすぎですね!
芙蓉妃の作戦②「夢遊病」を装い、さらに自分の価値を下げる
そして、意中の武官が功労を立て、その褒賞として、芙蓉妃がその武官に下賜(かし)されることになります。
しかし、他人の物ほど欲しがるのが、現皇帝(主上)。喜ぶ様子を見せるわけにはいきません。
芙蓉妃は、侍女たちと共に落胆したふりをし、「下賜が嫌だから夢遊病になった」ことをよそおいます。
下賜の日まで続けられた夢遊病(仮病)によって、無事に意中の武官と後宮を出ることができた芙蓉妃なのでした。
また、芙蓉妃が躍っていたのは東の塀。戦いを終え、東から帰ってくる武官の無事を祈るものだったと、猫猫は考えています。
芙蓉妃=「月下の芙蓉」の理由・意味
なぜ猫猫が、月の下で踊る芙蓉妃について「月下の芙蓉」と言ったのか?
原作やコミック版でもその辺は詳しく書かれていなかったのですが、アニメ版で解説が加えられていました!
猫猫によると「芙蓉という花は朝には白い大輪の花を咲かせるが、夕方になると濃い桃色に変わる」「二つの顔を持つ」ということでした。
アニメ前半では、月の下で踊る舞が、月の下では美しい白い花を咲かせる「月下の芙蓉」を思わせたのでしょうね。
#今日の花なのだ
芙蓉なのだ🌸
薬屋のひとりごとの夢遊病の芙蓉妃のお花なのだ
夜のはじめだからピンクに変化してたのだ pic.twitter.com/t1X0VXfvI9— ニワィさん (@botchifriends) November 10, 2023
ミニアニメ解説では、芙蓉の花言葉は「繊細な美・しとやかな恋人」
アニメ後半で、「主上の前での顔」と、「思いを寄せる武官への顔」の顔の二つを思わせる演出も良かったですね!
玉葉妃が芙蓉妃を見て「うらやましい」といった理由は?
主上の寵愛を受け、国で一番のお姫様・玉葉妃(ぎょくようひ)。
猫猫の推理を聞いて、玉葉妃は「芙蓉妃がうらやましいと言ったら、私はひどい女かしら?」と口にします。
玉葉妃は、芙蓉妃のどこがうらやましいのでしょうか?
玉葉妃が「うらやましい」のは、「後宮を出た」芙蓉妃ではなく、「思いを寄せ、寄せられる関係」の相手がいた芙蓉妃です。
玉葉妃は18歳。
政略結婚のため、西都から送り込まれたお姫様。
ナイスバディ大好きな主上の寵愛を受け、NO1お姫様になった玉葉妃ですが、「恋愛」という感情を経て、お姫様になったわけではありません。
そのため玉葉妃には、どこか空虚な気持ちがあるのかもしれませんね。
「下賜」とは何か?「武官に下賜」はかわいそう?
アニメ「薬屋のひとりごと」では、芙蓉妃が武官に下賜(かし)されるのは「かわいそう」なことと考えられているようです。
「武官に下賜」がなぜ「かわいそう」なのでしょうか。
「薬屋のひとりごと」で「下賜」の意味とは?
「下賜」というのは、簡単には「お下がり」です。
位の高い人から、低い人へ「人」や「物」を「お下がり」することを「下賜」と言います。
「人」だけでなく、「物」も下賜できます。里樹(リーシュ)妃の侍女たちなんかは、里樹妃の持ち物を「下賜された」と言って、勝手に自分たちのものにしちゃっています(;’∀’)
後宮のお姫様たちは、一度後宮に入れば「皇帝の妃」。
基本的には二度と後宮の外に出ることはできません。
しかし、例外的に「下賜」をされれば、皇帝のものではなくなり、後宮の外に出ることができます。
必要なくなった妃は、実家へ帰されるor下賜される
小説「薬屋のひとりごと」第1巻には次のようにあります。
梨花(リファ)妃以外にも必要のなくなった妃は幾人もいる。それらは、折を見て実家に帰され、また官に下賜される。 -薬屋のひとりごとー1巻
後宮には「妃、女官が合わせて2000人」いるそうです。
なのでもちろん、後宮には入ったけれど、皇帝のお手付きにならない妃は大量にいることになります。
その妃たちがどうなるかというと、「折を見て」実家に帰されるか、官に下賜されるか。
「実家に帰される」可能性もありますが、「折を見て」なのでそれでは適齢期を過ぎているのかもしれません。
せっかくの美女であっても、後宮で飼い殺しにされた後に、実家に帰され、しかも婚期を逃してしまっては、かわいそうですね。
「下賜」は屈辱的?
「下賜される」というのを、姫たちはどのように感じるのでしょうか?
食指を動かされることなく適齢を過ぎた妃は、よほど実家の権力がない限り、位が下げられるか、または官に下賜されてしまう。 -薬屋のひとりごとー1巻
「下賜されてしまう」とありますね。「下賜」は、喜ばしいことではないと、受け取れます。
そもそも下級妃は、その辺のかわいいだけの娘ではありません。
後宮では「下級妃」であっても、もともとは「地方の有力者の姫」で優れた美貌や教養もある女性。地元にいればそれなりにちやほやされる立場にあった娘です。
実家としては、娘が一度でも帝と夜伽をし、運よく子をなせば、皇子の実家として権力を持てる!と夢を託したに違いありません。
それが、帝の妃として後宮へ来たのに、務めを果たせずに、官に下賜される・・・。これは、妃としても、実家としても、かなりの屈辱でしょうね。
「武官への下賜」はかわいそう?
芙蓉妃が武官へ下賜されることについて、後宮女官たちは「かわいそう」という感想を持っていました。
でも、アニメ視聴者的には、「え?何がかわいそうなの?」とちょっと疑問になるところです。
というのも、今のところアニメ「薬屋のひとりごと」に出てくる代表的な武官と言えば「李白」。
清潔感もあり、園遊会ではかんざしをたくさん配っていたことから、それなりにお給料もたくさんもらっていそうですね。
他の武官の方々があまりでてきていないので、武官へのマイナスイメージは今のところアニメ視聴者にはあまりないようです。
なので「武官に下賜ってかわいそうなの?」と思う方も多いと思います。
しかし、後宮に努める女官や妃たちの間には、「武官ってこわそう」「武官って乱暴そう」という思いは強いのでしょうね。
後宮と、武官たちのいる修練場は離れていますが、実際、武官の中には乱暴な連中も多いです。
嫁いだ後、後宮の姫のようには扱ってもらえないかも・・・という思いもあるのかもしれませんね。
また、猫猫たちの暮らす「リー」は平和な国とはいえ、国境の方では紛争が起きています。
そういった地に夫が派遣され、未亡人になってしまう可能性もなくはないのです。
一番怖いのは「宦官への下賜」
芙蓉妃は下賜された先が「武官」でしたが、これはまだましな方。
一番怖いのは「宦官への下賜」のようです。
それが、不幸かどうかは相手にもよるが、宦官に下賜されることを官女たちは一番恐れているようだ。 -薬屋のひとりごと2巻ー
「宦官」とは子をなす機能を持たない男性。
姫としては、帝の子をなすことも果たせず、子をなす機能を持たない宦官に下賜される、というのはさらなる屈辱なのですね。
第2話の「媚薬チョコレート」はどうなった?
アニメ「薬屋のひとりごと」第2話で、壬氏(ジンシ)が猫猫に作らせた媚薬チョコレート。
3話になったら、きれいさっぱり忘れられていますが、どうなったのでしょうか?
ちなみに原作では、芙蓉妃の思いを知っていた後宮管理人ジンシが、文(手紙)に媚薬チョコレートを添えて、武官に届けた、となっています。
アニメ版では丸々消えてしまったエピソードです。
原作よりかわいい&感動!芙蓉妃の原作追記内容とは?
原作者の日向夏先生は、芙蓉妃の話について、「アニメオリジナル」の部分があることを公表しています。
芙蓉妃の話は、アニオリ部分で原作にないところをかなり補足されております。
おーってなって見ていて劇中歌が良くて驚いちゃう。— 日向夏🐗 (@NaMelanza) October 21, 2023
原作やコミックで深堀されなかった芙蓉妃と武官が、阿南国で過ごしていた映像は、美しすぎて圧巻でしたね。
ちなみにアニメ第3話では「阿南国」の国名は出てきませんが、この後、猫猫と壬氏が阿南国を訪問した際に、妊娠した芙蓉妃と再会します(小説・薬屋のひとりごと第5巻)。
感動!名前もない武官&芙蓉妃に豪華な挿入歌!
名前も決めてない武官の半生にまさか挿入歌がつくとは、すごいことである。
— 日向夏🐗 (@NaMelanza) October 25, 2023
原作から名前のなかった相手の武官ですが、芙蓉妃が後宮を出る場面では、多くの映像が挿入歌付きで追加されていました。
芙蓉妃が後宮にいた2年間は、不安と孤独を感じ続け、耐えた2年間だったんだな~と感じる演出でしたね。
ですが、その2年間、ただ孤独だったわけではなく、信頼できる侍女たちに支えられての2年間であったのも美しかったです。
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